2016年12月29日木曜日

年の暮れに   à la fin de l'année 2016


今朝もパリは良く晴れています。そのため気温はかなり低め、外は2度です。
いつも書くことですが、空に雲ひとつないような、良く晴れた日はかえって寒いというのが不思議なのですが、ちゃんと調べてみたら、答えはありました。夜間に起こる放射冷却によるのだそうです。地面から放出されるエネルギーが、雲のない空には、そのエネルギーが雲による吸収や跳ね返りがないために、放出され続けて地表付近の温度が下がるのだとか。私は子供の頃は完全な文系人間でしたので、こうした物理現象には興味がなかったのですが、大人になってみると面白いですね。理屈が分かる、という意味でも。


さて、また飽きもせずノートルダムを訪れました。
何度も行けるところが現地に住む人間の醍醐味ですが、本当に飽きません。
これは私がカトリック教徒であるからという事とは関係なく(無関係ではもちろんありませんが)、こうした歴史建造物の見事さには、見ている人を飽きさせる事はないんじゃないか、と思います。そうしたことは、京都・奈良の神社仏閣にも当てはまることでしょう。十代のころの修学旅行で、京都のお寺巡りをした時は、メニューに従って、一日にいくつもお寺を見たために、一つ一つの印象が薄れてしまい、どこも一緒、の様な感想を持ちましたが、そうした見学方法自体が問題なのであって、それぞれのお寺の魅力には、換え難いものがあります。


面白い角度で撮ってみました。というのも、こちらの空に、かもめの群れが飛び交っていたからですが、不思議に写っていませんね。シャッターを下ろした時には、もういなくなっていたのかもしれません。

面白いといえば、この大聖堂の前庭に、中国人の団体さんがいた事です。それ自体は珍しくもなんともないのですが、皆女性で、ピンク色の全く同じコスチュームを着て、旗の下、記念撮影をしていたのです。皆さん、にこやかで楽しげでした。その様子を撮る観光客も大勢いました。今や観光地にアジア人がいる事は、本当に当たり前のことになりましたね。


今年のノートルダム前のクリスマスツリーを、ようやく見ることができました。
今年はさすがにテロの影響で、設置する時期も遅かったし、こうして飾りつけも質素なものとなっています。例年だと、この前庭に、見上げるような高くて大きい1本のツリーが置かれ、装飾もキラキラ、華やかなのです。
それにしても、イヴや当日に、何事もなくて良かったです(少なくともパリにおいては)。
ただ、25日のミサの時にびっくりしたのは、ミサの後、教会を出る時に、入り口に迷彩服を着て自動小銃を持っていた兵隊さんたちが警護していたことです。やはりテロを警戒してのことでした。

またテロの話?と日本人の傾向として、こうした負のイメージをいつまでも書き続けることに、抵抗を示す人がいますが、これは紛れもない事実。こうした現実を、ただボーっと何も考えずに適応する危険を自覚して欲しいと思います。


私個人としては、「常に目を覚ましていなさい」という聖書の箇所を思い出しますが、これは教会の花婿であるキリストが、いつ現れるか分からないのだから、という下りなので、テロと結びつけるのは無理がありますし、間違いなのでしょう。ですが、負のイメージ、人の感情を逆なでしたり、気持ちを重たくしたり、あるいは怒りすら起こさせるような事には目をつむる、というのは現実的ではありません。自分に都合の良い事だけを現実として、その他の事は受け入れない、というのはこの国では通用しません。

なぜこうした事を書くのかと言いますと、「ボーっと何も考えずに適応すること」が、権力者側の人間にとって都合が良い、という事実を見逃してはならない、と思うからです。歴史認識が甘いと言われる日本人が、海外でどの様な目に合うか、そろそろ目を覚ます必要がありそうです。

もちろん、先進国である西欧諸国が牛耳っている世界観がすべて正しい訳ではありません。その事は、過去の歴史を見れば明らかです。西欧諸国が植民地で行った事は、はっきりと間違いであったし、その負の遺産に適応しなくてはならなかった現地人の苦悩は、未だに続いています。

そこで問題なのは、日本人として、「どちら側に立つのか?」という事です。
そうした「どちら側の人間なのか?」が、今、非常に問われているということを、知って欲しいと思います。
ただし、西欧人でも日本人でも、過去の歴史を反省し、被害者側の人たちを連帯している人も大勢いるという事実も忘れてはなりません。そこには何が真実で何が正しいことなのかが、明確になっているからです。日本の国内では通用するような相対主義が、こちらでは通用しないどころか、何物も解決しないことを知って欲しいと思います。

少々辛口で、偉そうなことを書きました。
2016年という年も、こんな想いを乗せて暮れて行きます。
皆様におかれましても、佳い年越しとなりますように。
来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。








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