2017年11月24日金曜日

晩秋と四方山話  La fin d'automne et l'anecdote

Jardin des Tuilleries チュイルリー公園
いよいよ秋も終わり、本格的な寒さを迎えているパリですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。先日、珍しく雲のない晴天がありましたが一日限り、その後も日は差しても弱々しい光で、曇天となっています。

夕方になると、大きく傾いた太陽の光がアパルトマンの窓から差してきて、ちょうどその角度が普段座っている位置に直撃するのでカーテンを引いています。弱々しい秋の光とはいえ、直撃するとさすがに眩しいですね。やはり太陽の威力ってすごいと思います。

公園の木々も街路樹も、黄色くなった葉をほとんど落とし、地面はそうした落ち葉で埋まっています。家の近所の通りにも、まだ掃き清められていない黄色の落ち葉が絨毯のようになっています。落ち葉をごみとしてさっさと掃いてしまわないで、落ちたままにしておくのも風情があっていいものですね。


こちらもチュイルリー公園ですが、晴れ間の見えた瞬間に撮ったものです。この後友人たちとルーブル美術館を見学する予定になっていたのですが、私たち夫婦は約束の時間よりも大幅に早く着いたために、時間つぶしで公園を散歩したのでした。

手前にあるカルーゼル門からこの写真にむかう通路には、黒人たちが絨毯を広げたくさんの物を並べて(今の時期は毛糸やフエルトの帽子)売っていて、思わずそれに見入っていると、危ない、危ない、背後から隙を狙ってスリの集団が近づいて来ました。日本人と見ると、未だにお金を持った観光客として狙われるのですから油断大敵ですね。もっとも狙われたのは私ではなく、私たちの側にいた本当の日本人の観光客(態度と服装で分かります)の方でしたけれど。

Cour Napoléon du Musée du Louvre ルーブル美術館のナポレオン広場

普段、パリの街中を歩いていて、危ない目に遭うことはほとんどないのですが、一ついつも気になるのが、前から人が歩いてくる時ですね。何が気になるかというと、避けないんですよ、すれ違う時に。すれ違うのだから避ける必要がある訳ですが、私の場合、100パーセント、私が避けています。フランス人て、避けないんですよ、絶対。

これには面白い話があって、フランス滞在40年以上の年配の友人なのですが、この事で実験したそうなのです。どういう事かというと、前から歩いて来ても、その友人は、「絶対に」避けなかったそうです。そうするとどうなるか?ぎりぎりまで来てぶつかりそうになった時、しぶしぶ避けるそうです。これってどういう事なんでしょうか?但し、フランス人同士の場合は分かりません。今度誰かに聞いてみようと思っています。

私にはこの友人のような度胸がないので、最初からもう、何も考えずに避けてしまいますが。。 このような態度が、一事が万事、とまでは行かなくても、フランス人の押しの強さという点では他の事にも通じますね。


未だに、自分がフランスでフランス人の間に混じって暮らしている不思議を感じます。
子供の頃からフランスという国、特に言語には慣れ親しんできた訳ですが、なぜか馴染んでいない、よく言えば常に旅行者のような新鮮な感慨をもって暮らしています。

常にブログに使えるような風景かどうかを観察し、常にカメラを持ち歩いているせいか、滞在14年目でも、観光客のような目を持ち続けています。自分の好奇心の強さのせいもありますね。


年明け、1月の末に一時帰国することになりました。一年で最も寒い時期に、「耐えやすいように」と夫が勧めてくれました。日本の冬といえば炬燵にみかん!(古いですかね)
でも自分の国とはいえ、日本を逃れ場にする発想を、もうそろそろ卒業したいですね。
ひと月ほどでパリに戻るので春はパリですが、夫はといえば、日本の桜をもう20年以上も見ていません。それを思うと、申し訳なく思いますね。。

日本も寒い時期ですが、恩師や友人たちと会えることを思うと楽しみです。

Au marché de St Germain サンジェルマン市場の花屋にて










2017年11月16日木曜日

晩秋、そして和食について



目の前の、眼下に見える公園の木々も、黄葉真っ盛りとなりました。
なんやかんやと時は過ぎて、秋も終盤、街では早くもクリスマスの装いとなっています。
今年はデパートのショーウィンドーで、どんな飾り付けや仕掛けが見られるでしょうか。近いうちに見に行こうと思います。
今日は、久しぶりに日の光が差す、明るい空となっています。


最近、日本の通信講座で、海外在住の日本人にむけたものを一つ、「家庭料理」を受講しています。
特に、和食についての基本的な知識を学びなおしたい、というのが最大の理由ですが、実際につくろうとすると、かなりの障害があることに気づかされました。

それはどういう事かというと、まず、和食に使う食材が、パリでは簡単には手に入らない、という事です。もちろん、通称日本人街と言われるオペラ街に行けば、ある程度のものは手に入るのですが、そこに行くまでの手間や時間を考えると、やはりもったいない感じがします。
例えば、その通信講座でつくらなくてはならない課題料理に筑前煮があるのですが、具として普通のスーパーで手に入るのはニンジンと鶏肉ぐらいです。その他の、干ししいたけやレンコン、ごぼう、竹の子、こんにゃく、絹さやなどは、売っていません。しかも鶏肉は、ささ身以外は全部骨付きですから、骨から肉をそぎ落とすという、肉をさばく必要があります。これが結構厄介なのです。


写真は、友人との昼食につくった、これも課題料理の一つ、五目炊き込みご飯と味噌汁、そして友人が持ってきてくれたヒヨコマメのサラダです。
友人の手料理は、もちろん、パリの普通のスーパーで手に入るものばかりで作られていましたが、五目炊き込みご飯は、やはり、簡単には手に入らない食材を多く使いました。

重ねては書きませんが、ご飯の上に彩りとして乗せた香菜は、実は三つ葉の代用品。同じアジアでも、中国系の食料品店は、街のあちこちにありますから、そこでは東南アジアのものも売っているのです。


こちらは ほうれん草のおひたし。
日本でもこの時期はほうれん草、手に入りづらいか、高いかもしれませんが、小松菜とか他の葉物があると思います。パリではこれも、上記した日本か韓国の食料品店に行かないと手に入りません。削り鰹もしかり。

パリで和食をつくるのが如何に困難か、ごく一部の例をとって説明しました。
驚いたことに、和食では「ほとんど肉を使わない」ということも発見しました。教材の料理本を見ても、使っている料理はまず肉じゃが、そして筑前煮ですが、あと代表的なのが豚の角煮(これはとても作りやすいです、和食用の調味料がそろっていれば)、しゃぶしゃぶ、すき焼き、鍋の水炊き、ぐらいでしょうか。あとは動物性の蛋白源としては全部、魚です。このこともまた、パリでは美味しい魚が手に入りにくいということで、ハードルが高くなっています。

なので、フランスに住む日本人は、やはりどうしても、フランス料理を普段には食べざるを得ない、ということになります。特に、和食、主食のご飯ですが、それが苦手なフランス人男性と結婚している日本女性は、ほとんどの食事をフランス料理にしていると思われます。こんなに手の込んだ、しかもお金もかかる和食をフランスで普段の食事につくるのは、そう、フランス語で言えば、raisonable なことではないのです。



上の写真は、なんとか、和食っぽい食事、もどきをつくったものです。
お味噌汁の油揚げも、手に入りづらい食材ですが、冷凍庫にまとめて常備してあるものを使いました。ワカメもしかり。韓国製の乾燥ワカメです。
メインの魚は缶詰(フランス製、鯖です)、トマト、巨大なさやえんどうもフランス製。お米も南仏、カマルグ産です。

世界各国の食材が、簡単に手に入る日本のスーパーとは大違い。
食事一つとっても、日本人が海外でも暮らしづらいということが、お分かりいただけたでしょうか?

きっと、「私はパンが大好きだから大丈夫」とか、「毎日肉でもへっちゃら」という感想がおありだと思います。でもそれは海外といえでも期間限定で暮らしている人の感想であって、永住を決めている日本人にとっては、ご飯やお味噌汁の味というのが、いかに本来の日本人の味覚、体質に合致しているかを、身を持って知っているのです。

もちろん、慣れもありますから、何十年と暮らしている間に、パンとチーズとワインの生活に、すっかり馴染んでいる日本人たちもいます。でも私自身は、和食をつくる機会というのが一年を通して何回かあるので、習って良かったと思っています。

肉じゃがもどきです
考えてみると、日本にいても、手のかかる和食は、今時の女性はつくらないかもしれませんね。
パリで和食をつくるのは、 単なるノスタルジーのなせる業なのかもしれません。

でも和食は世界に冠たる料理。そして日本人にとってはおふくろの味です。ぜひ、つくり続けて行きたいものです。





2017年11月5日日曜日

りんご茶いかがですか?   Thé aux pommes


パリは、先月の末に冬時間になってから気温がぐっと下がり、朝晩は5度前後、最高気温は10度前後となっています。本格的な寒さになりつつありますが、室内はもちろん、暖房で暖かいので心配はいりません。外も、日中は太陽が輝く時間帯があったりして、寒くても明るいので気持ちも下がりませんね。

個人的には、部屋にある全部の窓(三つあります)を、二重サッシにする工事が早く始まって欲しいと思っています。「11月に入ってから」というのに、何の音沙汰もありません。ですが、他の同じ敷地内のアパルトマンの住民で、この工事を申し込んでいる世帯がほかにもあって、他の部屋の窓の工事をしているのは先月から見かけているので「もうすぐ」、という思いで我慢しています。

上の写真は、先日訪れた、ダゲール通りにある子供洋品店のウィンドーです。
こんな可愛らしいフィギュアが置いてあると、どうしても撮らずにはいられなくなります。




さて、林檎が出回り始めたこれからの季節にぴったりのお茶をご紹介します。
その名もずばり、「りんご茶」です。

作り方をご説明します。とても簡単です。

① 1個のりんご(銘柄はなんでもいいですが、外側の皮の部分が赤い方が、ビジュアル的には
   綺麗に仕上がります。)をよく洗って、皮付きのまま四等分に切ってから細切りにします。
② 次に、切ったりんごをボールなどに入れ、レモン1個分の絞り汁を振りかけて、よく混ぜます。    酸化防止と、鮮やかな色をとどめるためです。
③ そして150グラムのキビ砂糖(なければ精製していない砂糖)をやはり振りかけて、
   よく混ぜます。
④ あとは3~4時間、冷蔵庫で放置するだけ。(途中何回かかき混ぜるといいですね。)

りんごの汁が出る前の状態

りんごの銘柄は、できれば紅玉だそうですが、フランス産のりんご(ハニークランチ)でも充分美味しくできました。

*りんご茶にするには、お湯で割ります。
    りんごから出た汁、大さじ1に対し、熱湯150mlぐらいが適量です。



りんごをただむいて食べるだけでは味わえない、甘酸っぱい味が存分に楽しめます。
生のりんごがちょっと苦手な人にも向いています。

夜長に温かいりんご茶で、ひと息入れてみませんか?