2018年9月6日木曜日

秋の気配  on sent l'automne qui approche

Salon de thé < Miss Marple > ティーサロン「ミス・メイプル」
6日未明に起きた、北海道での地震により被害を受けた方々へのお見舞いと、亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。北海道に縁のある、パリでの友人達、そして私自身も親戚がいるので、とても驚き悲しんでいます。1日でも早い復旧と、今後の対策が万全となるよう、願っています。

先日、久しぶりにパリの女友達と会いました。その友人とは、年に2回ぐらい、パリか東京で会うのですが、間をおいてあってもすぐに打ち解けて話のできる貴重な友人の一人です。
場所は、写真にあるように、「ミス・メイプル(フランス語読みだとマープルですが)」というティーサロン、喫茶店ですが、今回はランチとお茶、両方を楽しみました。

Cake fromage à la sauce framboise et un café
友人は何度か訪れているらしく、店の女主人とは顔なじみになっていました。その女主人はとても感じがよくて、お店の内装の雰囲気とよく合っていました。私は初めての来店でしたが、彼女からにっこりされて、すぐにリラックスすることが出来ました。

写真は、デザートのレアチーズケーキ。同じお皿に乗っているのはフランボワーズのソースです。これをたっぷりかけて頂きました。とても濃厚で、東京の赤坂にある「しろたえ」のレアチーズケーキを彷彿とさせる美味しさでした。

Esplanade des Invalides アンヴァリッド前広場
 パリは新年度を迎え、朝晩の冷え込みに秋の気配を感じますが、夕方になると太陽が輝いて気温も上がります。そんな陽気の中、街を歩いているとまだバカンス気分の抜けきれない様な人々が楽しげに歩いています。明後日の土曜日は夫の51歳の誕生日。さて、何をつくってあげましょうか?

2018年8月22日水曜日

夏の夕暮れに乾杯しよう ! Tchin'tchin' pour la soirée estivale !

Gare de Lyon パリのリヨン駅前


前回の投稿の最後に使った写真を改めて載せます。夏の間は、日差しの強さであまり写真を撮りためていないので。
この写真を撮った時は、時計台にもあるように夜の9時5分過ぎ。そう、朝の、ではなく夜の9時過ぎです。この写真は、もうひと月近く前なので、今よりは日が長かったのですが、現在パリの日の入りは午後9時ちょっと前と、この写真とあまり変わらない明るさがまだあります。

今年の夏は、珍しく夫婦揃ってパリにとどまっているのですが、考えてみたらこの8月の後半に二人でパリにいるのは初めてのことと分かりました。大抵は夫婦で日本にいるか、夫がヨーロッパ内で仕事で私一人で日本にいるかのどちらかでした。
そのため、3月に寝室を大改造した後の片付け、整理をゆっくりとすることができています。
Maitai au café Lithograohe カフェ「リトグラフ」のマイタイ
このところ、友人たちとカフェで飲んだり食べたりする機会が多く、これも夏にパリにいるお蔭と思っています。パリにいる日本人は、大抵は暑すぎる日本に帰らないでパリにいることが多く、夏の暑さが引けた頃(10月も後半でしょうか)に帰るパターンが多いです。

私は基本的にアルコールが飲めない体質なのですが(この世にアルコールというものがなくても全く困りません)、大勢の仲間との席では多少飲みます。空腹を避ければ、ワインはグラスに三分の一ぐらいだったら飲めます。飲むこと自体より、友人たちとワイワイしながらの雰囲気が好きなんですね。

 先日、友人に会いに行くメトロの中で、割と大きな事件に巻き込まれました。

私の斜め前の座席に座っていた黒人のおじいさんが、突然発作を起こして、電車を止める事態に発展したのです。車内はそれほど混んではいなかったのですが、バカンス客がいて、目の前にいたドイツ人の家族がすぐに異変に気がついておじいさんの手当てを始めました。おじいさんの隣に座っていた若い女性は突然のことでパニックとなって叫び出し、車内は一時乗客全員が総立ちとなりました。すぐにおじいさんは車内の床に寝かされ、人工呼吸を若者が始め、その間に非常ベルを鳴らしたり、「医者はいませんか?」の呼びかけが飛び交いました。
幸いにも次の駅でおじいさんは意識を取り戻し、駅員さん達に渡され一命を取り留めました。背後に救急車の音が聞こえる中、ようやく列車が通常通りの運行を再開しました。

パリのメトロでは様々な出来事が起こりますから、こうしたことは良くあることなのですが、目の前で経験したのは初めてだったのでかなりショックを受けました。あの若い女性のように叫びこそしませんでしたが、私自身、涙が溢れて止まりませんでした。あのような状況で平常心を保つことの難しさを感じましたが、その泣き叫ぶ女性を介抱する人もすぐに現れたのにはとても感心しました。

 ところでその日は、もう一つの感動する経験をしたのです。

Milk shake à la fraise 苺入りミルクシェーキ
  夕方に、モノプリという大型スーパーに立ち寄りました。私がお菓子の陳列棚を眺めていたら、色の浅黒い若い男性が、両手にサラダのカップとジュースを持って、「これを買いたいんだけどお金がないんだ。一緒に払ってくれる?」と無心されたのです。これこそ良くあることなので、私はとっさに、「現金を持っていないの」と嘘をついて追い払ってしまいました。
その後、そのことはすっかり忘れて買うべきものを眺めていたら、その彼が、スーパー内をあちこち歩き回って無心をしていることが分かりました。
そのことが分かると胸が痛むのを感じ、彼を呼び寄せてお金を渡しました。自分でもいくら持っているかわからなかったのですが、財布を開けると、20ユーロ札が2枚しかありませんでした。彼の抱えている食べ物は、合計で多く見積もってもせいぜい5ユーロぐらい。でも彼の率直な様子に胸が打たれた私は「これしかないから」と20ユーロ札を1枚渡しました。彼は法外な金額に眼を剥いて私をじっと見たので、その瞳の真剣さにまたまた胸打たれた私も、真剣な目をしてうなずきました。感謝の言葉と共に彼は素早くその場を立ち去りましたが、私はしばし呆然としていました。

パリの事情に詳しくない方は、物乞いに20ユーロあげることがどれほど法外なことか、想像を絶すると思います。逆にわかっている人からは、「馬鹿ね ! 」と言われるぐらいなことです。でも私はそうするしかなかったし、そうしたかったのです。

後で夫から、メトロでの経験を、その物乞いにお金を施すことで、浄化したかったんじゃないの ? と言われ、そういうことだったのかもしれない、と思いました。

Dans la gare de Lyon パリのリヨン駅構内

皆様も、夏の間に普段は経験しないことをする機会があったかもしれません。
残り少ない夏を、存分に楽しみましょう ! !









2018年8月8日水曜日

残暑お見舞い申し上げます 〜 オペラ街のラーメン店について

Café Le Jokey カトリックセンターの近所のカフェ
残暑お見舞い申し上げます。
日本は台風13号の接近で大変な最中だと思いますが、パリは昨晩から一気に気温が下がって、冷ややかな朝を迎えています。日中も最高気温が27度の予報で、日差しはあっても風は涼しくなっています。明日は久しぶりに雨になるそうで、このことからも、何か日本の気候と連動しているような不思議さを覚えています。

夏は暑いのは当たり前、とはいえ、このところのパリの気温は連日35度近くとなり、日本の家では普通にあるクーラーがないアパルトマンでは、暑さをしのぐのは扇風機。ないよりは全然ましですが、暑さから解放されることはありませんでした。「クーラーがないから大変だよ〜」と日本に住んでいる友人に言うと、「でも湿気がないでしょう?」と返されるのですが、いえいえ、「Il fait lourd !」といって、蒸し暑さもあるのです。lourd は、重い、という意味の形容詞ですが、 天気が重苦しい、うっとうしい、という意味にも転じます。

暑さが続くと、サッパリとした麺が食べたくなりますね。
写真は例によって夫が用意してくれました。

こちらは汁なし担々麺。
なんだか料理は夫が担当のような感じですが、少なくとも麺類は夫が作ってくれることが多いです(*^_^*)

麺といえば、このところ熱々のラーメンを食べに行く機会が多かったので、そのことについて少しコメントしたいと思います。
ラーメン業界に詳しい人なら、パリのオペラ街(通称、日本人街と言われています)では、昨今、日本現地からのラーメン店がぞくぞくと出店していて、ラーメンの激戦区になっていることはご存知かと思います。古くからあるお店に加えて、新しく参入して来たラーメン店は、日本各地からのものですが、私は自分のブログにはお店の固有名詞を載せることはしないと決めているので(例外はあります。特に褒める場合は。)今回も書きませんが、先日行った、大阪の塩ラーメン専門店にはがっかりしました。

私は、飲食店のお店の評価をするときは、味はもちろんのことですが、店員の接客態度や、それに伴うお店全体の雰囲気をとても気にします。パリでは、文化の違いと多人種ということで、きめこまやかなサービスというものを当てにすることが不可能なのですが、その反動といいますか、日本のお店でならそれを味わえるのではという期待が、日本本土からの出店にはある訳です。そして昨今の日本からのラーメン店では、それが実際に味わえます。日本の企業とはいえ、現地の人間を雇うことがあるので、日本のお店でも肌の色がさまざまなフランス人が料理や接客を担当します。私たち夫婦の一番のお気に入りのラーメン店は、生粋のフランス人たちが、入店早々に、「らっしゃい ! 」と威勢の良い声で出迎えてくれます。初めてその待遇を受けた時には、涙が出るほど感動しました。「あ〜、日本に帰らずして日本を味わえた ! 」と。

ところが先日行った、出店したばかりのその大阪の塩ラーメン専門店(これだけ書けばどこかすぐに分かってしまいますが)は、味はともかく、接客がなっていなかった。あまり詳しい点に及んでまで批判することは控えますが、給仕の女性自身は感じが良かったのですが、店内の雰囲気がよそよそしい感じがしたのです。
それから味も、塩味だけのラーメンで勝負するということに、こだわりが強すぎると思いました。醤油や味噌など、日本の伝統的な発酵食品を使わないと、「まずくはないけど、食べた気がしない。」と思いますし、塩ラーメンは、家でインスタントで作ってもその味出せるよ、ということになります。
そのラーメン店を後にして(店内からの、「ありがとうございました ! 」という日本語の声なし。)、もう二度と来ないな、と思いました。たかがラーメン店で、あそこまでの気取り(内装、接客態度)を誇示するお店にパリでは初めて出会いました。

そしてもっと言うなら、たかが、といえどもラーメン一杯、最低でも15ユーロ(円に換算して1,800円ぐらい)、その他餃子やビールを頼んだら二人でも50ユーロ(同じく、7,000円近く)するんですから、大人しく看過するなんてことは出来ません。ラーメン店で、人はまず何を欲しているのか ?   そこら辺を、「花の都パリ」に踊らされてあぁ、勘違いしてもらっては困るのです。

Gare de Lyon パリのリヨン駅
パリはバカンスも中盤。7月の休みを取った人たちと入れ替わるようにして、8月もパリを起点とする大きな駅では家族連れが跡を絶ちません。

そして今日を境にして、全般的に気温が下がる見込みですが、まだまだ夏の太陽は健在です。これからパリに来る方々も、夏の陽気を楽しめることでしょう !
Bonnes vacances !  et  bon voyage !






2018年7月16日月曜日

フランス優勝おめでとう ! Félicitation pour la victoire !!

Le jour de la victoire au quartier chinois 優勝が決まった日の中華街
昨日のW杯、決勝戦の当日、試合が始まる数時間前に、我々夫婦はカトリックセンターにて、日仏カップルの結婚講座をしていました。パリの日本人カトリックセンターでは、日仏カップルの結婚講座をして欲しいという、フランス各地の教会の神父、あるいは司教の要望に 応える形で、今は夫が責任者としてひと組につき数回の講座を受け持っています。大抵はフランス人男性と日本人女性のカップルで(ごく稀にその逆もあります)、フランス人男性の方は、普段教会には行かないけれども幼児洗礼を受けており、一方の日本人女性はキリスト教とはほとんど無縁か、全く知らないけれどもフランスの教会で結婚式を挙げたい、という希望を叶えるべくカトリックセンターを訪れます。結婚講座では、キリスト教における結婚観をはじめ、最低限のキリスト教の知識もお教えします。その間に、実際に洗礼を受ける日本女性もいます。皆さんとても熱心で、こちらとしてもお教えするのに熱が入ります。

ところが昨日は数時間後に決勝戦ということで外や周囲が騒がしく、集中するのが大変でした。でもカトリックセンターに結婚講座を受けに来るカップルは、大抵まじめながらとても陽気で、こちらとしても彼らの末永き幸せを祈らずにはおれません。


優勝してから1日しか経ってはいないとはいえ、既に食傷気味になっていますが、でも改めて捉え直してみると、素直に「優勝おめでとう ! 」と言える自分がいます。
実は上記した結婚講座が終わってから、あと1時間で決勝戦という頃(大体午後の4時ごろ)に、私たち夫婦は「お腹が空いた」ので、13区の中華街に行くことにしました。お腹がすいたら中華、というのが私たちの間ではほとんど合言葉になっています。それは中華料理が日本食に近く、美味しくて安くてお腹いっぱいになるからです。

ところでその中華料理店に入って食事をし始める頃には試合が始まっていて、そのお店でも大型スクリーンで試合を映し出していました。ところがそのお店では、店員以外は我々のみ。途中から入店して来たフランス人の叔父さんも、「全く興味なし」という風にしてスクリーンには背を向ける形で着席しました。
そこでとても興味深かったのは、そのベトナム人の店員たち(中華料理店でも店員はベトナム人の場合があります)が、フランスに得点が入るたびに飛び上がって大歓声を挙げていたことです。こちらとしては、その無邪気さにとても考えさせられました。フランスの旧植民地として何の屈託もないのか...  でもじきににそれも浅薄な考えと悟りました。彼らは決してナイーブではない。フランスにおいて商売をしている以上の、感謝と敬意もあるし、したたかさもあるのです。

Place de la Nation, près de chez nous 家の近所のナシオン広場にて
何はともあれ、我々はフランスに住んでいます。住んでいる国の応援ができないとしたら悲しいことですよね。人種による歴史や背景を考え出したら素直に喜べないとしても、目の前で単純に大喜びしているフランス人たちを見て、釣られて喜んでしまう自分がいました。フランス、特にパリは常にテロの危険に晒されていると言っても過言ではありません。そんな中、多少(?)のはめを外しても許されるのではないでしょうか。(但し、優勝した夜のシャンゼリゼでは一部暴徒化し、店のショーウィンドウが割られたり、キオスクが燃やされたりなどしたので、これは多少の羽目外しとは言えませんね。)

暴力は論外ですが、徹底的に楽しむ姿には学ぶべきものがある、と思った次第です。
Vive la France !  フランス万歳 !



2018年7月14日土曜日

心よりお悔やみ、お見舞い申し上げます Toutes mes condoléances



前回の投稿では、大阪北部の地震についてのお悔やみを申し上げましたが、その矢先に、今度は西日本を中心とした豪雨による大きな被害となってしまいました。
亡くなられた、数多くの方々に心から哀悼の意を捧げますとともに、被災して避難生活を送っている方々に心からのお見舞いを申し上げます。
ここ数年の、水害による被害にはいつも驚かされていましたが、今年は被害者の数が尋常ではないことで、ここパリでも大きく取り上げられています。同じ日本人として心が痛みますし、被災地出身の日本人の友人たちもいますから、とても他人事ではありません。一刻も早く、皆様が元の生活に戻れるよう、お祈り申し上げます。

また日本は猛暑と聞いています。
猛暑の中での避難生活は、とても難儀なことと思います。
どうぞできる限りのご自愛をして凌いでいただけたらと思います。

今日はフランスは7月14日の革命記念日で祝日に当たっております。
今年の軍隊行進では、シンガポールと日本がゲストとして特別招待を受けています。 もうそろそろ始まりますが、日本とフランスとの友好関係が、末長く続きますように。






2018年7月2日月曜日

暑くなりましたね La chaleur revient

Jardin du Luxemboug リュクサンブール公園
パリはバカンスシーズンに突入し、本格的な暑さとなっています。
日中は30度を超えるようになり、夜も20度を下回らない暑さです。

日本は関東で記録的に早い梅雨明けと聞いています。日本もかなり暑そうですね。
そして今日であの大阪北部の地震発生から2週間。亡くなった方々に心から哀悼の意を捧げますと共に、被災された方々、そして今なお避難生活を送っている方々に心からのお見舞いを申し上げます。地震後の大雨や暑さで、更に大変なことと思います。どうぞくれぐれもお身体をお大切になさってください。


フランスは地震こそないですが、意外なことに水害が多く、セーヌ川の氾濫、特に上流域での被害が毎年取り沙汰されています。パリでもセーヌ川の増水を何年かおきに経験していますが、家屋や交通への影響はさほどないようです。それよりもテロの恐れの方が大きいと言えるかもしれません。街中を歩いていて、機関銃を持った迷彩服の兵隊さんの3人連れに出会うことは、もはや日常の風景となっています。

とはいえ、地震のないことのメリットは日本人の感覚からすると大きいですね。特に家の中で高いところに物を置いても落ちてくる心配がないと、たとえば本を天井まで積み上げても大丈夫なわけです。写真は、ごく親しい人のアパルトマンの書棚の一部ですが、学者ということで高い天井までぎっしりと本が積み上げてあります。電子辞書の活用を嫌う年配の方ですから、冊数は古本屋が開けるほど膨大なんですね。確か先の大阪での地震では、大量の本の下敷きになって亡くなった年配の方がいると聞いていますが、それを思うと、パリでも本当に大丈夫なのか? ととても心配になってしまいます...

Jardin du Luxemboug 同じくリュクサンブール公園
今年の夏は日本に帰らないと決めたのですが、考えてみれば去年の夏も帰らなかったことを思うと、日本の夏が恋しいです。でも年末に帰れることを励みにしてパリでがんばろうと思います。夏はこれからが本番というのに、早くも気持ちは年末の日本に飛んでいます...



2018年6月16日土曜日

感想文など  Après avoir lu des livres...

そろそろ終わりになるとはいえ、牡丹 Pivoine の季節です。
中国原産の花とはいえ、その大らかで華やかな様子は、まるで西洋の王女様のようです。まさに「百花の王」の別名にふさわしい風情です。でもこのような艶やかさを、「西洋的」と思ってしまうのはなぜなんでしょうか。不思議といえば不思議だし、小さい頃からの刷り込みといえばそれまでですが、それって時には無視できないほど大きいと思うことがあります。

さて、ブログの更新速度が緩慢になっていますが、理由は二つ。
「本当に書きたいことを書くわけにいかない」という縛りがあることが一つ。
もう一つは現実的に左肩から来る痛みで、編み物はおろか、キーボードを打つのが苦痛ということが挙げられます。今は、昨日の温湿布が効いているので、なんとか打っています。

でも「本当に書きたいこと」が別にあるだなんて、考えてみれば思わせぶりですが、いずれ時を見て、ですね。少し書くと、私は何において人と連帯したいのか、ということです。私の原点です。とはいえ、今までブログを読んでくださっている方は、多少、気づかれるところがあるかもしれません...

Saint Paul の教会
肩が痛い間に、Kindleで本をあれこれ読んでいたのですが、
ちょっと感想を書くには時期を逸していると思われる本、稲垣えみ子さんの『魂の退社』(電子版発行日2016年6月23日)と、『寂しい生活』(電子版発行日2017年6月29日)を読んだので、それについて触れたいと思います。

彼女は1965年生まれで、1才しか違わないことで、同じ時代の空気を生きてきた女性として気になっていました。私たちが子供の頃の、70年代と80年代は、まさに日本は高度経済成長の真っ只中で、「いい学校に入って、いい会社に入れれば、あるいは三高の男性をゲットして結婚すれば、人生安泰」と、誰もが信じられた時代でした。私も少なくとも19才で母を亡くすまでは、そうした王道を歩んでいました。
稲垣さんは、その王道を、私のようなひどい挫折をすることなしに、突き進みました。一橋大学から、朝日新聞の本社勤務、その勤めを28年間成し遂げた後に、あの2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、アフロヘアにして退職します。

上記の本は、二冊とも、その経緯とその後の生活を綴っているわけですが、その節電生活の徹底ぶりが、その奇抜なアフロヘアと相まって注目を浴びたのだと思います。
日本では、断捨離がブームになってから久しいですし、生活をミニマリズムにしていくことも、巷では普通のことになっていますが、彼女の場合は、それに加えて月150円 ! という尋常では到達できないレベルの節電生活が話題となっています。
個人的には、「そこまでやるか?」と引いてしまうところがあるとはいえ、さすが大手の記者を勤め上げた記者魂ですね、とことん追求している姿勢と、全く気取りのない文体で、あっという間に読み上げてしまいました。
主婦レベルで考えられる、ちょっとした節電から始めて、「そもそも電気というものが存在しない」という世界まで行ってしまいます。テレビやオーディオ、電子レンジなどの家電製品もすべてなくしてしまいます。最後まで残った冷蔵庫をやめる件は、読んでいてハラハラしました。よくぞそこまで ! 読みながら乗り移った彼女の分身が、快哉を叫んでいました。

ただ、ひとたび読了して落ち着いてみると、全く別の視点と疑問が浮かびました。
そこまで彼女が徹底できたのも、独り身、ということがとても大きいのではないか、と。それだけでなく、介護が必要な身内からも自由、ご自身にも持病らしきものもない。全くの恵まれた自由の身です。
本のレビューにもありましたが、それらの自由に加えて、いくら退職後は無職になったとはいえ、退職金の多さ、それプラス自分を実験台にして、こうして本を書いたりマスメディアにも登場したりと「一般人」からしたら恵まれた環境での挑戦なわけです。
原発には基本的には反対だけれど、電気を必要としているお年寄りや入院生活を送っているような、弱者からの視点に欠けているのではないか? そうした疑問も沸きました。

Réamur Sébastopol 界隈
ともあれ、私自身も、何かをする場合に極めたくなる性格というのを振り返ってみると、彼女がしていることは、あながち無駄、と一笑に付すことでもないと思いますし、それはそれで人々に、少なくとも節電を通して、「生きていく上で本当に必要なものって何だろう?」と、根本命題を考える一つのきっかけとなったのではないか。そういった意味で、一読をお薦めします。

更に付け加えると、会社を辞めた後の顛末から、いかに日本が「会社社会」であるか、会社に正社員として就職している人にいかに有利にできている国かを暴露し、昨今の「働き方改革」なる政策が、いかに絵に描いた餅かを突きつけていることも面白いと思いました。
Place de la Nation
また別の見方をすると、人生をかけるほどに夢中になれること、熱中できることがあるって素晴らしい、とも思います。
最近、自分なりに、「人の役に立ちたい」あるいは「社会に貢献したい」ということは、もちろん大切だけれども、それプラス、「自分が心から楽しめること、夢中になれること」を見つけたいと思っています。両者が噛み合えば最高なんでしょうけれど...