前回は、ユダヤ人美術館をゆっくり見学した後に、打ち上げをしたお店を紹介しました。この写真は、そこでの食事を終えた後の帰り道で撮ったものです。通りの名はご存じ Rue des Rosiers。たまたま人があまり写っていませんが、通りに人は溢れていました。左手、店の前で携帯をいじっているのでしょうか、立ち止まっているのはユダヤ教徒。彼らの服装で一目瞭然です。 黒いスーツに黒いキッパーと呼ばれる独特の帽子を被っています。この帽子は、とくにシナゴーグに入る時に必須のもので、神への崇敬がこめられているとか。こうした民族衣装(?)に身を包んだ彼らは、ここでは水を得た魚のように生き生きしています。
こちらは行きに撮った写真ですが、 Rue des Rosiers の看板が見えるでしょうか。この店では、1982年、テロリストたちにより、20数名のユダヤ人が銃撃に遭い、死傷したところで、その記念碑が立っています。1982年といえば、そう遠い昔ではありませんが、未だに偏見と迫害によって差別を受けている民族だということに、変わりはありません。
そうしたことを私たちが声に出して話していると、いつの間にか、若いユダヤ教徒たちが背後に。私たちが熱心に読んでいるのを見て、好感をもったのでしょう。にこやかな笑顔をしてくれました。やはり、歴史というのもを知らずしてこの街を歩くことはできないなぁと実感しました。
引き続き、夜のユダヤ人街ですが、彼らの食生活はベジタリアンに近いものがあります。豚を食べないのはもちろんですが、 他の肉類でも、ユダヤ教に則った形で処理されたものしか食べません。パリのスーパーでは Cacher (カシェール)というコーナーがあり、ユダヤ教徒のための食品が並んでいます。軽食としては、Falafel (ファラフェル)といった、マクドナルドのハンバーガーのようなスナックがあります(もちろん、豚肉は使っていません)。青豆をつぶして団子状にまるめ、それをコロッケのように揚げたものを、ピタパンに挟んで食べるわけですが、10種類はある野菜類をそれに自由に付け加えて食します。体に良いものを食べているなぁ、という感じ。とっても美味です。
写真右上は、無意識に撮ったものですが、後で画面で見てびっくり。店名が、「Café des Psaumes」となっているではありませんか。Psaume とは、フランス語で「詩編」の意。さすが旧約聖書を教典としているだけあって、お店にもその名前を付けたりするのですね。感心しました。実際に、店内ではユダヤ人たちが詩編を唱えていたりして(?)。
宗教的に寛容だと言われる日本人からすれば、奇異なことでも、やはりパリに住んでいる以上、こうした宗教への尊敬を欠いた態度は許されません。ただ単に、「おしゃれな街」として楽しむだけではなく、こうした背景を知った上で行動したいですね。
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