ピンク色の百日紅 Lagerstroemia rose |
前回のメールからおよそ3週間が経ちますが、その間、他の病院でセカンドオピニオンをもらい、薬の処方が変わって、副作用などに苦しんでいました。
それも今は安定し、また来週の診察では確定診断をもらう予定です。
それはともかく、早く第二弾を、と思いながら、ようやく心静かにパソコンに向かえる時が来ました。今日は奇しくも夫の誕生日。52才になりました。教会での結婚記念日も近いということで、何となくおめでたい気分で書いています。
千日紅 |
その前に、前回の投稿を読み返して反省しています。読みづらい文章でしたね。もう少し寝かして考えるべきでした。
ところでその前回の文の中に、大きく分けて二つのタイプの女性を書きました。一人はいわゆる職業婦人、(この言い方は古いので、今では当たり前になった、家庭を持ちながら仕事をしている女性、という言い方が一般的ですね)もう一方は仕事をしないで専業主婦になっている女性。こちらも今では赤ちゃんや小さい子供がいる場合以外は何かしら仕事をしている人が大部分なので、中高年以上の女性以外は少数派と言えるでしょう。
1980年代は、まだこの二つのタイプの住み分けが割とはっきりしていた時代でもありました。 そういう意味で、この本が書かれた時代と現在は、大きく異なっていると言えるかもしれません。
しかし、選択肢が増え、何かしらの仕事、あるいはやるべき事、やりたい事を持っている現代の女性でも、何かしらの苦労をもっていることは確かです。
前回の投稿に、「人形の家」の主人公、ノラのことを書きましたが、現在では、『ノラのその後』といったタイトルで、様々な続編が作られているようです。ノラを一個の人間として扱わず、まるで着せ替え人形のようにしていた夫の家を出たノラは、その後どうなったのか ? 当時の時代背景からして、3つ考えられるとなっています。
1つは、経済能力の全くない彼女は、娼婦になった、という可能性。2つ目は仕方なく夫の元に帰った、という可能性。そして3つ目は自殺でした。
事ほど左様に、当時(19世紀末〜20世紀初頭)の女性の置かれた立場は弱かったのです。
愛猫アビ |
『日本は何かにつけて欧米先進国の模倣をしておればよかったのだが、最近はそうとばかりは言えなくなってきた。原理としての女性という言い方をすれば、日本人は欧米人よりもその点についてはよく知っていたとさえ言える。しかし、このことは社会的に日本では女性が生きやすかったことを意味するものではない。ー略ー 結局、女性の生き方 ー つまりは男性の生き方ということにもなるのだが ー について真剣に考えようとする人は、既成のモデルには頼り難いことになり、各人が自分の個性に頼って道を切り拓かねばならないことになるであろう。そのような困難な道を拓いてゆくために、本書が役に立てば真に嬉しいことであると思っている。』河合隼雄氏の「序」より
『女性の生き方に関する本は無数に出ていますが、その内面的方向を示したものはごく少数のように思えます。女性の心の成熟ということを考える場合、私がつねに念頭においている人がいます。それは長年、不治の病いに苦しみ一歩も外へ出られない女性です。ー略ー そのようなとき、私たちが頼りにするのは、決して外的活動ではなく、私たちの魂がいかに自分の自我というしがらみから自由に飛翔しうるか、ということだけです。』玉谷直美著「はじめに」から
この文に続いて先生は、その「魂の飛翔への道」を、「足元の身体」、つまり「心理的発達」からはじめなくてはならない、と述べています。そして更にそれが「哲学的、宗教的次元」と絶えず接触を保ち、「飛翔を可能にする方向性」をとらなくてはならないと書いています。
その「方向性」を指し示すことは無謀な冒険だと述べながらも、本論では女性の成熟にいくつかの発達段階を、様々な女性のケースを取り上げて説明されています。
臨床心理士であり、カトリック信者でもある玉谷先生の視線は、常に女性の立場に立ちつつ、更に弱い立場に置かれている精神を病んだ、あるいは危機に立たされている女性の側にあります。もちろん、それらの女性たちの抱える問題は、健康な女性にとっても他人事ではない事であって、読んでいて気づかされる点が多々あります。特に女性の成熟の過程で、女性の中にある男性機能(アニムス)をどう取り込み、自分のものとして統合していくか、という点や、母性を豊かなものにするために自我を自分の中心から外して忍耐力を養わなくてはならない点など、特に私自身に必要なものとして読みました。
しかしこの本の感想を書くには自分は深く深く同意することが大きくて、自分なりの考えを述べるには、まだまだ時間が必要だと感じています。
夫の誕生日、そして結婚15年の記念日が近いこともあり、その流れた月日を、改めて先生の本を読むことによって思いを馳せたいと思います。
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