2017年5月9日火曜日

初夏の巡礼   Le pélerinage au début d'été à Baugé-en-Anjou


週末とその連休を利用して、今年二度目になる巡礼旅行をしてきました。(連休というのは、昨日の5月8日は、フランスにとっては戦勝記念日で祝日なのです。)
6日の土曜日の早朝にパリを発ち、2泊3日して昨夕、パリに戻りました。

巡礼地は、アンジェ (Angers) から車でおよそ30分ぐらいの田舎にある、アンジュー(Baugé-en-Anjou)という小さな町でしたが、ここにはキリストが磔刑された本物と言われる十字架の破片から、十字架像をつくって祭ってあることで知られています。その保管場所は、私たちが宿泊した、Hospice (ホスピス)(Congrégation des Soeurs du Coeur de Marie の修道女たちが住んでいる修道院) の敷地内にあるチャペルにあります。
このホスピスは、1783年に創立され、障害者や不治の病を抱えた人々を受け入れました。その後、フランス革命を経て、1790年より、後に有名となる聖十字架像(la relique de la Vraie Croix d'Anjou) をそのホスピス内にあるチャペルで保管するようになりました。
もともとは聖地、エルサレムから1244年に持ち帰られ、その後時を経て王様の命により宝石で彩られました。その十字架は、後に国のエンブレムにもなり、かの名大統領、ドゴールも使用し、Croix de la Libération (解放の十字架)とも呼ばれました。

その修道院が所有する広大な土地には、老人や障害者のための施設と庭園があり、上の写真はそのごく一部を写したものです。
「初夏の巡礼」と書きましたが、巡礼中は概ね曇り、時折日が差しましたが、少し涼しい陽気でした。


それでも日が差せば明るく、施設の壁を這うつる薔薇は、満開となっていました。
ここは施設の利用者(およそ160人)の散歩や憩いの場所であり、うさぎ小屋や山羊などの動物も飼われていました。
私たちが散策している間に、利用者とその世話をする女性二人が来てうさぎに餌をやりに来ていました。利用者と思われる男性は、私たちを見て無邪気に笑っている姿が印象的でした。


 こちらは、町の中心にある Château  de Baugé から北へ徒歩で10分もしない場所にある、Hôtel-Dieu (病院)内にある、Apothicairerie (薬局)の入り口です。この薬局は、女性限定であった病院のチャペルが改装されたもので、1675年に始まりました。
ここはフランス国内でも有名な薬局の一つで、
( Apothicairerie de Baugé ) と呼ばれ、年間数多くのヴィジター(訪問者)を招いています。
その薬は、古今東西から集められた珍しい動植物から採取されたものから出来ており、写真にあるように、陶器の壺や缶に収められています。その数650!そして天井や床などの美しい板張りでも知られています。
薬には、龍の血(sang de dragon) や甲殻類の粉(poudre de cloportes)、ザリガニの眼(yeux d'écrevisses) などがあります。


修道院の中庭にあった赤いつる薔薇です。
そろそろバラの季節となってきました。
このつる薔薇の側にはルルドの洞窟と、そこに出現されたマリア像のレプリカがあり、
およそひと月前に訪れた彼の地を思い出す機会となりました。

パリの薔薇が咲くのは、もう少し先になりそうです。

さて、このアンジューの聖十字架像巡礼の最中、フランスは歴史的な選挙の結果が決まる投票日を迎えました。(つまり7日の日曜日です。)
前回のブログで、華々しいデモの様子を書いたので、責任上、結果の報告をしたいと思います。
夫は、この巡礼のためにパリを不在とするのが分かっていたため、前々からパリのアパルトマンの自宅の階下に住むフランス人夫妻に代理投票をお願いしていました。今回、代理投票だけでなく、例外的に棄権の数もフランスとしては多かったのですが、代理の場合、代理をしてくれる人に、自分がどの人物に入れるかを明言しなくてはなりません。日本には、事前投票というものがありますが、不思議なことに、その制度はフランスでは採用されていません。なので、代理人が、当日に、代理を頼んだ人からもらった代理人投票券を持って、投票所に行くわけです。(面倒ですね)

さて、結果は皆さんご存知のように、新大統領は社会党のエマニュエル・マクロンとなりました。

当日は、修道院のテレビの前で皆で首っ引きとなり、夜8時の選挙結果を今か今かと待ち受けました。神父様もかなり熱くなっていたようです(笑)。
マクロンがなるだろうという見込みはあったものの、今回は、アメリカ並みの怪情報がル・ペン側から大量に流れたために、皆、ひやひやしていたのです。でもフランス人は、アメリカ人ほど(敢えて書いてしまいますが)愚かではなかったわけです。やれやれ、これで一件落着、フランスはまたしばらく安泰でしょう。
因みにマクロンはフランス史上最年少の大統領となりますが、彼の才覚で上手く乗り切って行けることでしょう。若い、ということはそれほど障害にはならないと思います。当人の主義主張と人格が、一番問題となる訳ですから。ただし、この後に控えている6月の国民議会選挙がありますので、議席の数がどうなるか、マクロンを党首とするマクロン党なるものができるそうなので、その議席がどこまで伸びるかが課題となるでしょう。

日本はゴールデンウィークが終わり、早くも日常に戻っている日々だと思いますが、どうぞお元気でお過ごしください。

 修道院の、階下の中庭に面した、サンルームです。
ここでも真っ赤なゼラニウムが咲いていました。

















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