2014年3月5日水曜日

思い出の椿


ふと気が付いたのですが、「パリ便り」となっていませんね。まだ当分東京です。すみません。

でもいずれパリに戻るので、家の片付けをしなくてはなりません。倉庫と呼んでいる1階の部分は一番悲惨な状態ですが、 これはもう、私の手には負えませんので、東京に残る兄にバトンタッチです。業者に頼むにしても、色々なものを砕いたりして腕力が必要となってくるからです。

その点、庭(2階のベランダをそう呼んでいます)の整理は2日で片が付きました。ふと見ると、真っ赤な椿が咲いていました。この椿は、私が小さいころに母が植えたものなので、もう40年以上経つ大木です。木の重みで、木全体が前にかしいでいるような状態で生えています。
いつ頃からか、下枝には、白い椿が咲くようになって、1本で2色が楽しめます。残念ながらまだ咲いていないので写真には撮りませんでした。
この椿の前に立って、よく母にポーズを撮らされたものです。
「ほら、さっちゃん、笑って!」

北側に植えていた大型のツルバラ、(「マダム・アルフレット・キャリエール Madame Alfred Carrière」 と 「アルバーティーン Alvertine 」の2本)は、あの2週連続の大雪で、すっかり打倒されてしまいました。バラ愛好家ならわかるはずですが、この2本はとても薫り高いツルバラで、春一番に、一斉に咲き始めます。1つは白。もう1つは濃いピンクです。もう15年咲いてくれたので、よしとしましょう。

父がそのツルバラに合わせて、棚を手作りしてくれていたのですが、それも雪の重みと強風で倒れてしまい、帰省した兄に、取り壊してもらいました。こうして、父の思い出も、形あるものは少しずつなくなっていきます。私の後を継いで、本当によく父はバラの面倒を見てくれました。


 こちらは椿の根元に生えているクリスマスローズ。
店頭ではもう、咲いたものを売っていますが、自然のものはまだこれからです。
この花が咲き始めると、本当に春が来たな、と実感できます。 




この家、生まれ育った家ですが、ここに1人で住んでいる不思議を思います。
1人で住んでみると、やはり父がこの家を守ってくれていたんだ、ということを身に染みて感じます。
もちろん、今は形を変えていつも守ってくれている訳ですが、やはりそれでもしんどいなぁと思います。でももう、逃げるようにしてはパリに帰りたくない、強くそう思います。

今日は東京は荒れ模様。冷たい雨が降っています。
人間はしょせんは1人。自分のことは自分で守るしかないのだ、と強く思います。
でもどこかで、同じ思いの人と連帯したい。そんな希望を持っています。


 

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