2018年8月22日水曜日

夏の夕暮れに乾杯しよう ! Tchin'tchin' pour la soirée estivale !

Gare de Lyon パリのリヨン駅前


前回の投稿の最後に使った写真を改めて載せます。夏の間は、日差しの強さであまり写真を撮りためていないので。
この写真を撮った時は、時計台にもあるように夜の9時5分過ぎ。そう、朝の、ではなく夜の9時過ぎです。この写真は、もうひと月近く前なので、今よりは日が長かったのですが、現在パリの日の入りは午後9時ちょっと前と、この写真とあまり変わらない明るさがまだあります。

今年の夏は、珍しく夫婦揃ってパリにとどまっているのですが、考えてみたらこの8月の後半に二人でパリにいるのは初めてのことと分かりました。大抵は夫婦で日本にいるか、夫がヨーロッパ内で仕事で私一人で日本にいるかのどちらかでした。
そのため、3月に寝室を大改造した後の片付け、整理をゆっくりとすることができています。
Maitai au café Lithograohe カフェ「リトグラフ」のマイタイ
このところ、友人たちとカフェで飲んだり食べたりする機会が多く、これも夏にパリにいるお蔭と思っています。パリにいる日本人は、大抵は暑すぎる日本に帰らないでパリにいることが多く、夏の暑さが引けた頃(10月も後半でしょうか)に帰るパターンが多いです。

私は基本的にアルコールが飲めない体質なのですが(この世にアルコールというものがなくても全く困りません)、大勢の仲間との席では多少飲みます。空腹を避ければ、ワインはグラスに三分の一ぐらいだったら飲めます。飲むこと自体より、友人たちとワイワイしながらの雰囲気が好きなんですね。

 先日、友人に会いに行くメトロの中で、割と大きな事件に巻き込まれました。

私の斜め前の座席に座っていた黒人のおじいさんが、突然発作を起こして、電車を止める事態に発展したのです。車内はそれほど混んではいなかったのですが、バカンス客がいて、目の前にいたドイツ人の家族がすぐに異変に気がついておじいさんの手当てを始めました。おじいさんの隣に座っていた若い女性は突然のことでパニックとなって叫び出し、車内は一時乗客全員が総立ちとなりました。すぐにおじいさんは車内の床に寝かされ、人工呼吸を若者が始め、その間に非常ベルを鳴らしたり、「医者はいませんか?」の呼びかけが飛び交いました。
幸いにも次の駅でおじいさんは意識を取り戻し、駅員さん達に渡され一命を取り留めました。背後に救急車の音が聞こえる中、ようやく列車が通常通りの運行を再開しました。

パリのメトロでは様々な出来事が起こりますから、こうしたことは良くあることなのですが、目の前で経験したのは初めてだったのでかなりショックを受けました。あの若い女性のように叫びこそしませんでしたが、私自身、涙が溢れて止まりませんでした。あのような状況で平常心を保つことの難しさを感じましたが、その泣き叫ぶ女性を介抱する人もすぐに現れたのにはとても感心しました。

 ところでその日は、もう一つの感動する経験をしたのです。

Milk shake à la fraise 苺入りミルクシェーキ
  夕方に、モノプリという大型スーパーに立ち寄りました。私がお菓子の陳列棚を眺めていたら、色の浅黒い若い男性が、両手にサラダのカップとジュースを持って、「これを買いたいんだけどお金がないんだ。一緒に払ってくれる?」と無心されたのです。これこそ良くあることなので、私はとっさに、「現金を持っていないの」と嘘をついて追い払ってしまいました。
その後、そのことはすっかり忘れて買うべきものを眺めていたら、その彼が、スーパー内をあちこち歩き回って無心をしていることが分かりました。
そのことが分かると胸が痛むのを感じ、彼を呼び寄せてお金を渡しました。自分でもいくら持っているかわからなかったのですが、財布を開けると、20ユーロ札が2枚しかありませんでした。彼の抱えている食べ物は、合計で多く見積もってもせいぜい5ユーロぐらい。でも彼の率直な様子に胸が打たれた私は「これしかないから」と20ユーロ札を1枚渡しました。彼は法外な金額に眼を剥いて私をじっと見たので、その瞳の真剣さにまたまた胸打たれた私も、真剣な目をしてうなずきました。感謝の言葉と共に彼は素早くその場を立ち去りましたが、私はしばし呆然としていました。

パリの事情に詳しくない方は、物乞いに20ユーロあげることがどれほど法外なことか、想像を絶すると思います。逆にわかっている人からは、「馬鹿ね ! 」と言われるぐらいなことです。でも私はそうするしかなかったし、そうしたかったのです。

後で夫から、メトロでの経験を、その物乞いにお金を施すことで、浄化したかったんじゃないの ? と言われ、そういうことだったのかもしれない、と思いました。

Dans la gare de Lyon パリのリヨン駅構内

皆様も、夏の間に普段は経験しないことをする機会があったかもしれません。
残り少ない夏を、存分に楽しみましょう ! !









2018年8月8日水曜日

残暑お見舞い申し上げます 〜 オペラ街のラーメン店について

Café Le Jokey カトリックセンターの近所のカフェ
残暑お見舞い申し上げます。
日本は台風13号の接近で大変な最中だと思いますが、パリは昨晩から一気に気温が下がって、冷ややかな朝を迎えています。日中も最高気温が27度の予報で、日差しはあっても風は涼しくなっています。明日は久しぶりに雨になるそうで、このことからも、何か日本の気候と連動しているような不思議さを覚えています。

夏は暑いのは当たり前、とはいえ、このところのパリの気温は連日35度近くとなり、日本の家では普通にあるクーラーがないアパルトマンでは、暑さをしのぐのは扇風機。ないよりは全然ましですが、暑さから解放されることはありませんでした。「クーラーがないから大変だよ〜」と日本に住んでいる友人に言うと、「でも湿気がないでしょう?」と返されるのですが、いえいえ、「Il fait lourd !」といって、蒸し暑さもあるのです。lourd は、重い、という意味の形容詞ですが、 天気が重苦しい、うっとうしい、という意味にも転じます。

暑さが続くと、サッパリとした麺が食べたくなりますね。
写真は例によって夫が用意してくれました。

こちらは汁なし担々麺。
なんだか料理は夫が担当のような感じですが、少なくとも麺類は夫が作ってくれることが多いです(*^_^*)

麺といえば、このところ熱々のラーメンを食べに行く機会が多かったので、そのことについて少しコメントしたいと思います。
ラーメン業界に詳しい人なら、パリのオペラ街(通称、日本人街と言われています)では、昨今、日本現地からのラーメン店がぞくぞくと出店していて、ラーメンの激戦区になっていることはご存知かと思います。古くからあるお店に加えて、新しく参入して来たラーメン店は、日本各地からのものですが、私は自分のブログにはお店の固有名詞を載せることはしないと決めているので(例外はあります。特に褒める場合は。)今回も書きませんが、先日行った、大阪の塩ラーメン専門店にはがっかりしました。

私は、飲食店のお店の評価をするときは、味はもちろんのことですが、店員の接客態度や、それに伴うお店全体の雰囲気をとても気にします。パリでは、文化の違いと多人種ということで、きめこまやかなサービスというものを当てにすることが不可能なのですが、その反動といいますか、日本のお店でならそれを味わえるのではという期待が、日本本土からの出店にはある訳です。そして昨今の日本からのラーメン店では、それが実際に味わえます。日本の企業とはいえ、現地の人間を雇うことがあるので、日本のお店でも肌の色がさまざまなフランス人が料理や接客を担当します。私たち夫婦の一番のお気に入りのラーメン店は、生粋のフランス人たちが、入店早々に、「らっしゃい ! 」と威勢の良い声で出迎えてくれます。初めてその待遇を受けた時には、涙が出るほど感動しました。「あ〜、日本に帰らずして日本を味わえた ! 」と。

ところが先日行った、出店したばかりのその大阪の塩ラーメン専門店(これだけ書けばどこかすぐに分かってしまいますが)は、味はともかく、接客がなっていなかった。あまり詳しい点に及んでまで批判することは控えますが、給仕の女性自身は感じが良かったのですが、店内の雰囲気がよそよそしい感じがしたのです。
それから味も、塩味だけのラーメンで勝負するということに、こだわりが強すぎると思いました。醤油や味噌など、日本の伝統的な発酵食品を使わないと、「まずくはないけど、食べた気がしない。」と思いますし、塩ラーメンは、家でインスタントで作ってもその味出せるよ、ということになります。
そのラーメン店を後にして(店内からの、「ありがとうございました ! 」という日本語の声なし。)、もう二度と来ないな、と思いました。たかがラーメン店で、あそこまでの気取り(内装、接客態度)を誇示するお店にパリでは初めて出会いました。

そしてもっと言うなら、たかが、といえどもラーメン一杯、最低でも15ユーロ(円に換算して1,800円ぐらい)、その他餃子やビールを頼んだら二人でも50ユーロ(同じく、7,000円近く)するんですから、大人しく看過するなんてことは出来ません。ラーメン店で、人はまず何を欲しているのか ?   そこら辺を、「花の都パリ」に踊らされてあぁ、勘違いしてもらっては困るのです。

Gare de Lyon パリのリヨン駅
パリはバカンスも中盤。7月の休みを取った人たちと入れ替わるようにして、8月もパリを起点とする大きな駅では家族連れが跡を絶ちません。

そして今日を境にして、全般的に気温が下がる見込みですが、まだまだ夏の太陽は健在です。これからパリに来る方々も、夏の陽気を楽しめることでしょう !
Bonnes vacances !  et  bon voyage !